ケニアでの国際協力活動の現場では、アフリカの独自文化に外来の宗教や植民地支配などの歴史が重なり、複雑な価値観を持った人々の本音と建前が絡み合う中、共に社会の問題に取り組むことになります。その複雑さにはまり、アフリカ好きとしてケニアに駐在していましたが、ケニアとの出会いから10年ほど経った時に自分で団体を立ち上げてまで取り組みたいという課題に出会いました。ケニア社会で疎外されている子どもたちです。非行少年の課題と出会ったとき、初めて、アフリカが好きなだけはなく、居座ってまでやりたいことができたと思います。

ケニアの未来が気にかけているケニアの子どもたちは、普通に生活しているようで、犯罪者のレッテル貼られているような子どもたち。

育児放棄のために人知れず働かざるを得なかったり、継母父との関係に苦しんでいたり、様々な種類の暴力を受けていたりする子どもたち。

このような理由から、家に居場所がなくて、ふらふらしているうちに大麻やシンナーを始めたような子どもたち。

子どもの課題が専門家しか取り扱えなくなったら、ケニアのような人口の半分以上が子どもの国はどうなるのか。ケニアの未来が気にかける子どもたちの数は決して少なくありません。

普通の親であり、地域の住民であるケニア人が、子育てについて、子どもの発達について、誰もが通る思春期の問題についてしっかりと理解し、子どもに接することができる事、子どもにとって良くないこと(暴力や薬物)から子どもを守ることが大事です。

非行や過激化に今は至っていなくても、潜在的にリスクの高い子どもはたくさんいます。

貧困や孤独がリスクを加速させます。予兆の芽に気がつくことができるのは周りの人間です。親・親戚であり、ご近所さんや学校の先生たちです。

子どもたちはケニアの未来ですが、社会的に疎外されて人の目もむけられず、ひそかに傷つき、そこから非行や早期妊娠などのさらなる問題を重ねてしまう子どもたちもケニアの未来を築きます。

ケニア人が動いて変わっていく協力活動がいい活動です。

支援者の外国人が目立って輝く活動ではなく、ケニア人が主体となってはじめて、持続可能なケニア社会の前進となります。持続可能な開発は言うは易し、行うは難しです。

変化には時間がかかっても、ケニア人が今の子どもたちの状況を何とかせねばと日常の中で継続される活動を一緒に進めていきたいと考えています。

ケニアの未来設立者・事業総括 橋場美奈