非行・犯罪少年への不十分な社会復帰支援

ケニアでは、年間約1000人の子どもが更生学校(日本の少年院)へ入ります。しかし、更生・社会復帰のための十分な支援が行われているとは言い難く、多くの非行少年が更生学校出所後も再犯をしてしまうという実態があります。

見えない虐待や育児遺棄が生み出す子どもの貧困

家庭の中で行われる、見えない虐待や育児遺棄が原因で、家出をしてしまう子どもたちがいます。2019年にケニアの子ども相談電話(Child Help Line 116)に寄せられた相談件数は全国で963件。2020年は、新型コロナウィルス感染の影響もあり、5月までに550件に上っています。しかし、これは、氷山の一角。多くの子どもはどこにも相談できず、虐待に気がついた周囲の大人もどうしたらいいかがわかりません。家庭にいられなくなった子どもたちは、ストリートチルドレンになったり、児童労働を強いられたり、早期妊娠をしてしまったりと、過酷な状況に陥ります。過酷な生活のため、盗みなどの軽犯罪を犯すこともあります。このような子どもたちが何のケアも受けずに親になった時、再び虐待・育児遺棄が始まる可能性が非常に高くなります。

社会から孤立した非行少年や若者の過激化

昨今、ケニアではテロの多発と治安の不安定化が社会的に大きな課題となっています。その背景には、虞犯(ぐはん。将来罪を犯しやすい状態であること)・犯罪少年の放置があると考えられます。社会から孤立した犯罪少年たちは、ギャング組織やテロ組織のスカウトを受け、より過激な犯罪に手を染めていくことになります。