“子どもの保護チームメンバーと学校へ!小学校、高校で非行予防活動”

事業概要

ケニアの首都ナイロビに隣接し、近年急速な都市化・人口流入・住宅地化が進んでいるアティリバー県ルケニア地区を対象に、児童ボランティア及び子どもの保護チームと地域の学校との連携を強化し、潜在的に広がっている学校での子どもの非行防止のための活動を促進した。

ルケニア地区にある小中学校10校を訪問して、生徒が地域で見られる主な非行とその予防・対処法を参加型で学べるようなセッションを実施した。

活動1:非行予防研修

ルケニア地区を3分割したそれぞれのエリアで、子どもの保護チームメンバーが2日間の研修に参加した。1日目に非行の要因となるファクターと少年司法制度の処遇も含む非行のインパクト・影響、またアンガー・マネージメントについての研修を実施。2日目に性同意年齢により18歳未満の子どもの性交渉が性犯罪にあたるケニアの性犯罪法を中心に、子どもへの性虐待、子どもによる性犯罪の研修を行った。

活動2:非行予防活動計画策定会議

地域で見られる主要な非行として、1薬物依存、2怠学、3性犯罪、4ギャンググループなど過激組織への加入についてのロールプレイなど実習例や教授内容を盛り込んだガイドラインを作成して配布。ガイドの内容を伝達する練習も行い、近隣の学校訪問の計画を立てた。

活動3:子どもの保護チームメンバーによる学校での非行予防活動

アティリバー県教育官事務所からの許可の下、実際に地元の学校との調整はボランティア自身が行い、情報伝達および非行問題についての理解促進を図るための活動を小学校8校、高校2校で行った。(複数回訪問した学校もあり)

参加した総生徒数は、1,128名。教員は32名。大半の活動は、研修を受けたチームメンバーが2名~5名の複数で参加し、情報伝達する箇所を分担して行った。

プロジェクトを通じて発掘された課題

・都市部(町の周辺)ではボランティア活動の実施が難しい。都市部での就業・生活スタイルもあるが、地域社会や学校への帰属意識も関係していると推測される。

・取り上げる非行の種類(トピック)については、地域の実際の状況に応じて、ボランティアが選択したが、4項目あった非行のうち、過激化を選んだチームはなかった。これは過激組織(ギャンググループ)によるスカウトなどが水面下で行われることが多く、子どもが隠して関与しているケースが多いため、深刻さを認識していない可能性がある。

・学校側は生徒の行動面の問題を抱えているからか、ニーズの認識は高い。反応は前向きでこのような活動を求める声が多かったため、単発での地域ボランティアによる活動に限らず、教員の関与により継続的に学校に根付く活動の形成も必要。また学校と少年司法関連機関との協力関係など、改善される余地がある。

ボランティアや非行予防活動に参加した生徒、教員の声の一部

「セッションに出た子どもたちが親に聞いたことをたくさん話しているようだ。親から学校での活動について聞かれた。」(ボランティア)

「子どもから情報共有された親からも前向きな反応を見られ、繰り返しこのような活動をしてほしいというコメントをもらった。」(ボランティア)

「特に性犯罪法についての研修で、新しい知識を得ることができた。」(研修を受けたボランティア)

「地域でなじみのある保護者による啓発活動であり、関係がすでに築かれていて近くから来てもらえるので、今後も協力していきたい。」(カウンセリングとガイダンス担当の小学校教員)